『静岡市カットが上手い美容室がホットペッパーに掲載しないわけ‥‥』

タダより高いものは無い‥‥

そんな言葉が脳裏を過ぎったのは

三週間に1度は訪れる

『豚カツ屋』でのこと

 

私はその店が

この世からなくなってしまったら困ると

豚カツを食べながら毎回思う

 

と同時に自分もお客様に同じように

感じてもらえるカットをしなければと

いつも豚カツを味わいながら思っている

 

私は頻繁にその店を利用しているからと

常連ぶったりはしない

この店に限らず

そう振る舞うのが私の流儀といえる

 

そんなある日

常連らしきお客さんと店主が

こんな話しをしていた

 

四二年間この商売をしているが

全てのテレビ局

全ての雑誌

フリーペーパーなどから

取材の依頼があったと

 

その店主が知る限りの全てという

意味だろうが

すごいのはここからの話しだ

 

 

 

 

『全て断った』

 

『そういう衆は

一切お金はかかりませんから

って言うんだけんね』

 

全て断った?

 

私は自分が恥ずかしくなった

 

シービスケットをオープンして間もない頃

某テレビ局がら取材の依頼があり

浮かれていたことを思い出した

 

18歳以上の女性専用美容室

というのが珍しかったのかと思うが‥

結局その話は先方の都合でなくなり

別の美容室が取り上げられたが

 

もしもシービスケットが

その番組出演していたら‥

 

きっとその答えが

豚カツ屋のご主人のその後の言葉だった

 

『テレビや雑誌に出たりしてたら、

少しは違ってたもしれないけど‥』

 

『夫婦二人でのんびりやってるしね‥

たくさんお客さんに来てもらっても‥

出来ないよね

 

『出来ないし、こなせないよ』

 

そう出来ないし、こなせないのだ

 

この豚カツ屋に取材の依頼が来たのは

ここ最近のことだけではないだろうし

四二年間もやっているということは

このご主人が三、四十代の頃にも

オファーはあったに違いない。

 

それを考えると

ダダを断る勇気を四二年間も

持ち続けていることには脱帽する。

 

 

 

 

この豚カツ屋のメニューには

 

『小さな店ですが味には自信があります』

 

と書かれている

 

それを証明するかの様に

けして安くはないこの店には

時間帯を問わず数人のお客さんが必ず居る

 

商いとは何かを教えて頂いた時間だった

 

ちなみに

シービスケットの代わりに取材を受け

テレビに出演した美容室は

もう街の景色の中にはない

 

それが全ての答えのように思う