『美容師小谷直樹のハサミへの執着心』

私の仕事に対するポリシーやルールに

ついてお話します

私の道具への執着は

ちょっと変人的です

 

ハサミはデザイン的に美しいものを

選びます

今使っているハサミは

グットデザイン賞を受賞している

とても美しいハサミです

そのハサミメーカーは

お相撲さんの断髪式で使用されている

ハサミを提供している一流の

ハサミ屋です

もちろん切れ味は最高です

また人間工学に基づきケンショウ炎

にも配慮されています

 

 

そんな条件を満たしたと感じる

ハサミの出会えた場合

私は同じハサミを3丁所用する様に

しています

なぜそうするのか

美容師のハサミのメンテナンスは

料理人の方々が包丁を

自分で研ぐようにはできません

包丁と違い、二枚の刃から構成される

ハサミはかみ合わせや刃付けが

非常に繊細になっているため

ハサミを製作した職人の方でなければ

自分のハサミであっても安易に研いだり

は出来ないものなのです

そのため製作元にメンテナンスを

依頼している間にカットする

ハサミとして2丁めが必要になります

おっちょこちょいの

私はよくハサミをハサミケースから

落としてしまいます

ハサミは繊細なものなため

落ちしてしまったり乱雑に扱うと

刃こぼれしてします

刃がかけてしまったハサミは

使えなくなり治療に出すことに‥

ですから3丁めのハサミは予備という

ことになります

 

 

私には修行していた頃から

守っているルールがあります

ハサミは美容師にとって

最も大切な商売道具です

『いいハサミと出会えた時は

お金の事は後回しにしてでも

必ず購入する』

このルールを自分に課したのは

修行時代の先輩や同期の人達が

ハサミの購入をどうするか

迷っている姿を見て

『この選択、迷う必要ある?』

『ハサミ屋さん、分割でいいって言ってるじゃん?』

『ダサッ!』

と思ったからです

美容師として売れるための

気合でしょ!

と考えたわけです

案の定そういう美容師は

例外なく売れない美容師でした

 

以前、この人すごい人だと

感じた方に言われた言葉が

「私はこだわりという表現が好きではない」

と言われた事がありました

その時は気にすることもなっかたのですが

ある時その言葉を思い出し調べてみると

こだわり、こだわる

には良い意味でない内容が

書かれていました

それから私は

こだわり

という言葉を無意識に避けるようになりました

今回のお話をこだわりと題するのが

普通なのかもしれませんが

私はあえて

『ハサミへの執着心』

と題しました

ハサミに執着しなければ

カットが上手い美容師には

なり得ないと日々感じています